以前のコラムにてお盆に関する「デジタル帰省」など、コロナに関する内容を書いておりますが、現在も変わらず安心して帰省しづらい状況でしたね。
普段なかなか会うことのできない遠方の親族と会って話ができる機会が減ってしまい、とても残念でした。
今回は「相続の放棄」について少しお話しします。
まず、①遺産分割協議で行う相続分放棄と②家庭裁判所で行う相続放棄は異なります。
①は相続人全員で話し合う遺産分割協議の場で「自分は遺産を相続しない」と意思表示をし、ほかの相続人と合意することで自らの相続分を放棄すること。
②は家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、受理されることで「自分ははじめから相続人ではなかった」とすること。なおこの場合、遺産分割協議に参加することはできません。
この2つの違いは主に負の財産(借金など)が出てきたときにあります。
①の場合は、あくまで相続人間の合意であるため債権者に対して相続の放棄を主張することができません。
②の場合は、法律的に相続人ではないので相続放棄を主張することができます。
負の財産が発覚してから家庭裁判所に相続放棄の申述をしようとしても、「遺産分割協議後の相続放棄は原則認められず」。
また、相続放棄の申述は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならない」と法律で定められていますので、思うように手続きできない可能性があります。
遺産を相続しないと決めたら、①と②どちらを選択するか慎重に判断する必要があります。
ただし、この3か月の期間は場合によって3か月以上に伸長する場合や、3か月の期間経過後も放棄の申述ができる場合もありますので、お困りの際はご相談いただければと思います。
◎裁判所ホームページ
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html